野田俊作の補正項
             


函館

2015年08月01日(土)


本日の読書
 朝の飛行機で函館に来た。午後から2時間ほど講演をした。「家族をとりもどす」という題名なのだが、「わかりやすくて、すぐ役に立つ」という聴衆の期待を完全に裏切って、《ニヒリズム=グローバリズム=金融資本主義&共産主義》複合体が必然的に家族を解体していっていること、家族をとりもどそうとするなら、近代文明そのものを克服する必要があることについて、かなり政治的な話をした。

 なんでも北海道には『北海道新聞』というきわめて「香ばしい」新聞があるんだそうで、読んで言っているわけではないので違っているかもしれないが、私がしたような話はほとんど書かれていないはずだ。日本の左翼系新聞は「報道しない自由」を最大限に活用しているので、人々は現代社会(つまり《ニヒリズム=グローバリズム=金融資本主義&共産主義》複合体)の諸問題を理解するために必要な基礎的な知識を持っていない。だからまず、基礎的な知識について知ってもらうことが、問題解決について考えることの前提条件になる。今日の話は、まあそういう意味だ。

 アドラー自身も同じ危機感の中で話をしていた。ただ、彼の時代にはまだ萌芽的だった危機が、私の時代にはきわめてあからさまになっていて、問題ははるかに切実になっている。家族の解体はきわめて《構造的》なものなので、政治的な意識を持たないで家族をとりもどすことなど、もはやできないと思っている。それでも、実際にやることは、デモ行進ではなくて、たとえば夫婦仲良く、親子仲よく暮らしながら、「家族会議」をしっかりやることなどなのだが。

 終わってから食事会をしないかというお誘いを受けていたのだが、申し訳ないけれどお断りして、原稿書きに没頭した。リンポチェの本の第2章の校訂は終わった。こういう仕事はつめてやらないとダメだ。今週中に第3章もあげてしまいたいものだ。第4章は質疑応答なので気楽だ。8月前半の間に脱稿して、出版社を探さなければ。函館はロマンティックな町で、しかも今夜は花火大会だ。ひとりでロマンティック・ディナーもバカみたいなので味噌ラーメンを食べ、花火大会は音を聞くだけにしてホテルの部屋でひたすら仕事をしていた。年をとるにつれて、変人ぶりがひどくなっていく。