野田俊作の補正項
             


ドルズィン・リンポチェの前行法話(4)

2017年03月20日(月)


 ドルズィン・リンポチェの前行法話は、今日は「グル・ヨーガ」と「慈悲と菩提心」について教えていただいた。ドルズィン・リンポチェが底本にしておられるのは、ガムポパ大師の『解脱の宝飾』という大昔の本で、和訳も出ているのだけれど猛烈に難しい。それを詳しく細かく噛み砕いて、しかも今日的なたとえ話を使って、われわれでもわかるように説いてくださる。顕教についてこれだけ詳しく、しかも実践的に説いてくださる先生は、残念ながら日本にはおられないと思う。大学の先生は知識はしっかりお持ちだが、実践がかならずしもともなっていない嫌いがあるし、出家の師匠は実践はしっかりなさっているかもしれないけれど、知識はもうひとつだったりする。ドルズィン・リンポチェはじめチベットのラマさまは、知識もきわめて系統的に学んでおられるし、実生活の中でそれをしっかりと実践しておられる。

 それはどうしてかというと、『道次第』という伝統があるからだ。チベットに2度目に仏法を伝えられたアティーシャ大師が『道次第』という本を残され、弟子たちがそれに注釈をつけた。ガムポパ大師の『解脱の宝飾』もそのうちのひとつで、基本的にはアティーシャ大師の『道次第』の順序にそって話が進んでいく。アティーシャ大師の整理の仕方は実に合理的で、顕教の全体像が1本の木のように整理して述べられている。日本の仏教には『道次第』にあたるものがないので、部分部分が相互のつながりなく放り出されている感じで、全体像がきわめてつかみにくい。チベット仏教には全体の見通しがあるので、いまどこをやっているのかがきわめてよくわかる。

 『前行』というのは、各宗派の『道次第』を初心者に教え込むためのコースだ。カギュ派は『解脱の宝飾』を下敷にするし、ゲルク派はツォンカパ尊者の『道次第大論』を下敷にするし、ニンマ派はパトゥル・リンポチェの『クンサンラマの教え』を下敷にする。いずれもアティーシャ大師の『道次第』を各宗派風に註釈をつけたものだ。

 早くも来年の来日の相談を始めた。リンポチェは来ていただく気はじゅうぶんあるみたいだ。しかし、まだ具体的な日時や場所は決まらない。プログラムは、前行をもう一度していただくのと、阿弥陀仏法要+ポワの教えという線で話が進んでいる。これも、変更になる可能性はあるので、そのまま信用しないでください。今回の教訓で、お坊さま方の参加を考えるとお彼岸やお盆は避けるべきだということが解った。しかも通訳の先生が時間をとれる大学の休みの期間でなければならない。さらに、チベットの祝日を避けなければならない。そうなると、かなり日は限られてくる。

 今日で家に帰る人たちは、最後にリンポチェから加持をいただいた。特別サービスで、白ターラー菩薩のマントラと阿弥陀仏のマントラを授けていただいた。

 みんなが帰ってから、夕食のために、会場の近くのレストラン(というよりは飯屋)に行った。リンポチェはいたくお気に入りになって、鶏のあぶり焼き定食を完食された。日本の味がお好きなようで、味噌汁を飲んで、「毎朝これを飲んでいるんだ」とおっしゃっていた。3食しっかり召し上がっていただいているので、心なしか太られた気がする。ホテルまでお送りしたが、百字真言を行進曲にして歩いて帰った。季候はすこし春めいてきている。お帰りになるまでに最初の桜が咲かないかなと思っているのだが、無理かな。

 Garchen Institute Japan(日本ガルチェン協会)のFaceBook のページに行かれると、他の写真もたくさんありますので、見てください。