2011年4月アーカイブ

日本の弓術

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kyujutsu.jpg2月の末頃だったと思うのですが
「この本の中に、アドラー心理学の奥義があるのじゃ!」と
大きなJ先生が示してくださった小さな文庫本
『日本の弓術』(オイゲン・ヘリゲル著 岩波書店)をお借りました。

薄っぺらい本なので、仕事の行き帰りの電車の中で
あっという間に読んでしまいました。

そして影響を受けやすい私は、すっかりはまりまして
無性に弓術をやってみたくなりました。

体力も腕力も運動神経も自信ありませんが、弓ならできるかも?
だって、的に当てようと思うな、無心になってこそ当たるのじゃ・・・
とか書いてあるじゃないですか。

・・・というあたりに惹かれるってこと自体、
当てることにこだわっているという証拠かもしれません。
動機はやっぱり不純かも。。。

ともあれ先生に本をお返しするとき、
「アドラー心理学の奥義はわかりませんでした~m(_ _)m
でも、弓道を習うことにしましたっ!」
と宣言したのでありました。
先生は「そっちへいくか~!」と、
学ばぬ弟子に頭を抱えておられましたが・・・

私は本気です。
ネットで検索すると、大阪城公園内にある弓道場がみつかりました。
タイミングのよいことに初心者向けの弓道教室が予定されていて
申し込み受付は、そのとき直近の1週間となっていました。

さっそく申し込んで「厳正なる抽選」にも当選して
4月8日から、ほんとうに弓道を習い始めることになりました!

☆☆☆☆☆

さて、8日の午後6時半。
更衣室にてジャージに着替え、指定の白い靴下をはき
スリッパで待っていますと

着物に袴のおばさん(たぶん先生)に見咎められ、
「スリッパを脱いでください」と、ぴしゃりと言われました。

道場内では裸足と土足は厳禁と聞いていましたが
どうやらスリッパも準土足とみなされていたようです(-_-;)

そのうちに同期生40人(約4分の3は女性)がそろいまして
大きな日の丸の掲げられた道場で
まずは開講式がありました。

なんだか礼や返事の仕方もキビキビするのが当然という雰囲気で
武道一般初めての軟弱系女子としては、どうふるまえばよいのやら、
雰囲気を察知するのに必死という感じです。

講師の先生方は4人です。
先ほどのおばさん先生と小柄なおばあちゃん先生。
大きなおじさん先生と、小柄なおじいちゃん先生。
どの先生も、弓道に燃え、弓道を後世に伝えるため、
私たちのような軟弱女子男子を鍛えるべく、熱意に満ち満ちておられます。

先生方の完璧な射礼を見せていただき
弓道場の説明および弓道具の名称の説明を受け、
各自、体格に合わせた弓と
ゆがけ(右手にはめる鹿皮の手袋)を選んでいただきました。

生まれて初めて持ってみた弓は、長っ。
本気で長いです。
ためしに引いてみたら、重い、というか固い。
私にできるんかしら。。。と、愛用の感情「不安」が頭をもたげてきました。

ゆがけの装着の仕方も、いまいちよくわかりません。
先生を囲んで見せていただきながらはめてみるのですが
そもそも手に合っているのかいないのか、締め方が強すぎるのか弱すぎるのか、
ずれてはいけないし、きつすぎてもいけないようだし、ようわからん。。。
と、マイナス感情が動きます。

初級教室は6月までの毎週金曜日、全部で10回です。
まったくの初心者がこれだけの回数で出来ることは、もちろん限られています。
それを充分承知で、心の鍛錬のつもりで来たはずなのですが

できな~い、わからない~って思うと、
私は簡単に劣等の位置に落ちるみたいです。
ビュン!と立ち上がった価値の梯子が見えた気がしました。
まあ、見えただけ、少しは成長したと言えるかもしれませんが・・・(^^;)

残りの時間で、立ち居振る舞いの練習もしました。
簡単そうに見えて、なかなか先生方のように、流れるようには動けません。
しかも、ものすごく腹筋や脚の筋肉を使っていたようで
途中から、恥ずかしながら、私の膝は笑い始めていたのでした。
うう、日ごろの運動不足が・・・(>_<)


お稽古事をひとつ新しく始めるというのは大変なことですね。
ひとつひとつの用語が耳慣れず、道具も馴染みのないものです。

そうしたら、アドラー心理学を学び始めた頃のことを思い出しました。
パセージや理論編でよしわかったぞ!と思ったのに
事例検討会に行ってみたら、そこで話されていたことがまったくわからなかった!
いろんな講座に出て新しい情報を仕入れても
ばらばらと断片的で、うまく使うことができません。

でもいつの間にか、アドラーの知識が自分の中でまとまりを持ち始めて
少しずつそれに沿って動けるようになる。。。

kyudo.jpg最初なのだから何もわからなくて当然、
こんなところで「出来る私」を目指さなくていいはずです。
「出来ない私」と思うと
自動的に劣等の位置に落ち
補償するために、焦ったり落ち込んだり
がんばりすぎたり、あきらめちゃったりする
子どもっぽい私のライフスタイル。
いやぁ大人になるのは
なかなか面倒なものですね。

でもこの年になって
また新しい体験にパニクるというのも
考えようによってはけっこう楽しいものです。
まぁ適性があるかどうかわからないから
ともかく10回、休まずに通ってみようと思います。

そしてやっぱりかっこよく
いつかは弓を引けるようになりたいな。
それが最初の動機ですもん(^_^)
← めざすぞ~

『中心のある家』

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昨年娘たちが越した家には書庫があり、
そこには古本屋さんが開けるぐらいの量の本があります。
彼らには、本を売るとか譲るとか捨てるとかする習慣がないみたいので
どんどん本が増えていきます。

それとは別に、居住空間である居間や食堂にも、本があふれています。
新しく買った本、現在読書中の本、久しぶりに書庫から出してきた本・・・
私は彼らの家に行くと
よこ積みされているそれらの本をチェックするのが楽しみです。

去年の夏に行ったときは『ゲド戦記』が積んであって、
ずいぶん楽しませてもらいました。
今年の1月には福岡伸一さんの本がたくさんあって、かなりそそられたのですが、
残念ながら読むヒマがありませんでした。

さて今回の収穫は・・・!
なんといっても
建築家・安部勤さんの『中心のある家』でした。

「中心のある家」は、35年も前に安部勤さんの建てた自邸です。
外観、見取り図、多方向からのイラスト、
全ページにある詳細な挿絵には、
彩色がまったくほどこされていません。
読者が自分のイメージで色を塗っていくように、という、
そうです、これは塗り絵になった絵本なのです!
まず、このコンセプトがおもしろい。

abetsutomu.jpgそしてこの家が、またすてきなのです。
玄関のアプローチには、ケヤキの木。
バリ島の木の扉。
コンクリート打ちっ放しの壁と、
対照的にぬくもりのある、木の床、木の縁側。
家の内にも外にも、あふれんばかりの植物。
居心地よさそうな仕事場、台所。
ハンモックやデイベッド。


彩色されていない挿絵でも、
いえ、彩色されていないからこそ、
組み立てられた空間の美しさがよく伝わってきて、
本当にいい家ね!と、夢中になってしまいました。

この絵のここに見えている壁は、どの部屋かしら?とか
この部屋の窓から見えている庭は、どちら向きかしら?とか
何度も何度も見取り図のページに戻りながら
ためつすがめつ、挿絵を眺めてため息をついていると

お婿さんが、「どうですか?その本。これは見られましたか?」と
この家の実物写真の載った雑誌を出してきてくれました。
カラー写真を見ると、想像した通りの空間配置でしたが、
想像を超えて、もっとずっとお金のかかっていることがわかりました(^^)

お婿さんも、『中心のある家』は大のお気に入りだったみたいです。

彼とおしゃべりしながら、あとがきまで読みすすんで、ふと気がつきました。
「あら、著者がこの本を書いたのは、奥さんが亡くなられてからなのですね」
「ええ。前のページに、ひとつ写真があったでしょう」

そう、それは気がついていました。
中心にある居間から東方向を眺めた絵。
ピアノの上に、いろんな置物といっしょに並んでいる、ひとつの写真立て。

すべて細密なイラストで埋められているこの本の中、
その小さな写真立てにだけ、ほんものの写真が印刷してあったのです。
1cmにも満たない小さな小さな白黒写真に写っていたのは
ショートカットの女の人と小さな赤ん坊のようでした。

かつて奥さんと小さな息子さんと、3人で暮らし始めた家。
月日が流れ、息子は成長し妻は先立ち、
建築家は、今ひとりで同じこの家に暮らしています。

建築家はあふれる思いをこめて
この1枚の写真に家族の歴史を語らせたのだなぁと感じました。

そしてそれ以上に私をあたたかい気持ちで満たしてくれたのは、

娘の旦那さんも、こういう小さな手がかりを敏感にキャッチして
人間を観察したり理解したりする人なんだなあ~
と気づいたことでした。
また、ほんの短い会話の中で、私たちがそれをお互いに了解できたことでした。


reading.jpgさて翌日は、書庫で
『ルイス・バラガンの家』という写真集を見つけました。
これもまた、メキシコの建築家ルイス・バラガンの自邸です。
お金かけまくり技巧こらしまくりのお屋敷ですが
なかなかに美しい本でした。
娘がお婿さんの誕生日にプレゼントした本なんですって。

もったいないほどのお婿さんだと私は思うので
仲良く尊敬しあって暮らしてくれているようで
とてもうれしいです。

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